会員向け情報

木津川市中学生海外派遣OB・OG活躍中!~vol.1~

2015年度派遣生 河原慎太郎さんが「ウクライナ避難民支援のためのボランティア活動」に参加し、その概要を投稿していただきました。 併せて、派遣事業で学んだこと、大学進学への動機など大変興味深い内容も書かれています。

インタビュー内容をぜひご覧ください!

「The Volunteer Program for Ukraine」 の活動を通して

木津川市海外派遣事業2015年派遣OB
福島大学 3年 河原慎太郎

                             提供:日本財団ボランティアセンター

「The Volunteer Program for Ukraine」は、日本財団と日本財団ボランティアセンター共催のウクライナ避難民支援のためのボランティア活動です。5月~10月までに全7回の学生ボランティアを派遣する活動で、私はGroup3のメンバーとして参加した。

【ボランティア参加の動機】
今回、「The Volunteer Program for Ukraine」の活動に参加したのは、ウクライナの人たちに向け、感謝の気持ちを持って物的、精神的に支援をしたかったからだ。現在、生活している福島県は、11年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた。震災当時、私は小学生であり同じ日本で起こっていることにも関わらず、何にもできなかった後悔があった。震災直後、ウクライナの人たちは福島に防護マスクやサーベイメーター(放射線量計)など原発事故の調査に必要な機器を送ってくださった。今この地で学べるのはウクライナなどの海外からの支援によるものが大きく、その恩返しをしたいと思い応募した。

【活動の概要】
私たちは、ウクライナと国境から10キロほど離れた街、ポーランドのプシェミシルにて10日間ほどボランティア活動を行った。主な活動は、ウクライナ国鉄が唯一EU圏に乗り入れをする「プシェミシル駅」にて列車を乗り継ぐ避難者の方の荷物を運ぶことや、一時避難所の設営などであった。
また、個人的な活動として、ウクライナから避難民の中で深く関わった方に、福島県の浜通り地域の縁起物であるだるまや、起き上がり小法師をプレゼントし、日本からの気持ちと11年前の感謝の気持ちを伝えた。

                          提供:日本財団ボランティアセンター

【印象に残った出来事、考えたこと】
①ウクライナ人とロシア人における政治的差別
プシェミシル駅では多数の国からのボランティア参加者がいた。EU圏からのボランティアが多かったが、アメリカやメキシコ、そしてロシアからボランティアに参加している方もいた。一緒に活動したロシアの方は、ロシア政府の考えに反対してウクライナ人の支援をしていると話してくれた。しかし、活動中、ロシアやベラルーシから来た女性にはボランティアの登録カードへのスタンプが押されないことがあった。これは、ウクライナ側からのヘイトクライムによるものだろう。後日、登録カードにはスタンプが押されており和解したと思われるが、戦争によって生じた政治的な差別を目の当たりにした。
ウクライナ人や彼らを支援する人たちは、ロシアが侵攻することによってロシア政府だけではなく、ロシア人全体が悪者と考える人がいる。一方で、ロシア国内にはロシア政府の行動に賛同しない人もおり、ロシアを出国してウクライナ人を支援する人もいる。
先述のロシア人の女性は、ウクライナに対して支援していることを示すために、活動期間中に腕にウクライナ国章のタトゥーを入れていた。
この点が、国際社会の問題の中で難しい点である。政府がやっていることは、国民の総意ではないのにも関わらず、他国から見ると「政府」の行為がその国にいる「人」の行為としてみなされ非難されるのだ。

②避難者の苦悩
プシェミシル駅には2日に1度ドイツ政府により、フランクフルト(Frankfurt)、ハノーファー(Hannover)行きの無料の特別列車(フリートレイン)がウクライナからの避難者のために運行されている。
ホームには小さな子どもを連れた家族、ご高齢の夫婦、障がいを持った方など様々な方が列車を待っていた。「自分が、自分が」と列車に乗ろうとするが、軍人や警察官、駅員、経験豊富なボランティアの方々が優先順位を決めて乗車させる。全員が乗れるわけではなく、避難者と軍人、駅員、ボランティアなどと言い合いもあった。しかし、最後にはホームでともに活動した人が乗客に手を振り、拍手が生まれていた。この光景が、ウクライナからの避難の難しさを表した縮図ではないかと思った。
(同じ派遣学生の人がウクライナ国内で戦争前から生じている、ロマ族への差別をプシェミシル駅で目撃したと話してくれた。)

③ウクライナ人の本音
駅でのボランティアをしている時には、避難する方は感情を表に出さずに、普段通りに接しているように思えた。しかし、活動期間中、避難してきた方からの話を聞く機会があり、その場でお話をしてくださった方のほとんどがウクライナ国内の様子を思い出すと瞳に涙を浮かべていた。いつもは何気ない表情で過ごしているが、やはり母国のことを思い出すと、平和だった時の生活や、ウクライナに残っている家族などのことを考え、寂しさや怖さなどがあふれてくる姿がみられた。

派遣事業で学んだこと、大学進学への動機 そして将来の夢・目標

【木津川市海外派遣事業の参加前後で変化したこと】
私は木津川市海外派遣事業をきっかけに海外に対する捉え方が変化し、現在の進路選択や、今回のウクライナからの避難民支援ボランティアへの参加につながっている。
私が本市の海外派遣事業に参加したのは中学2年生の時だった。当時の私は、英語に興味があったが海外に行くことが初めてであり、アメリカで数日間生活することや、現地の人と交流することに対する不安が多くあった。しかし、ホームステイ先の家族は、英語があまり話せない自分に対して、やさしく話してくれたり、ホストファミリーが日本語の単語を探してくれたりして、海外の人の親切さを知ることができた。また、ホームステイ先での生活では、朝食の決定から行きたい場所まで自分の意見を伝える必要があり、自分から他者に関わって意見を伝え、判断する重要性を学んだ。その結果、現在のわたしは何事にもチャレンジするようになり、多くの場所で人に話しかけることで国内外問わず、交友関係を広げることができるようになった。また、海外派遣事業でともに活動した仲間は、学校や学年が違うにも関わらず、現在でも関係が続いており、昨年、同期と一緒に木津川市成人式実行委員を務め、一生の仲間ができた。

【福島大学進学の動機など】
私が福島大学に進学したのは、11年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた際に、何もできなかった後悔があり、大学進学を機に東北地方で生活し「ふくしま」の未来に貢献したいと思ったからだ。これは、今回のウクライナ支援参加の動機も同様であったが、自分の行動の中で「直接的に支援する」という軸があるからだ。東日本大震災や、ロシアによるウクライナ侵攻では、日本政府や国民が金銭的援助を多数行っている。しかし、震災後の東北地方や、現在のウクライナからの避難民の方には、間接的にしか関われていない。そのため、大学進学後、1年次からOECDと福島大学の震災の教訓を風化させないイ委ベントの運営や、「ふくしま浜通り高校生会議」という県内の高校生が原発事故による処理水の海洋放出について考える活動の企画、運営を行ってきた。また、現在は「福島県日本型直接支払交付金第三者委員会」の委員となり、行政組織の農業政策を評価、検討する立場となった。今回のウクライナ避難民支援ボランティアへの参加には、福島県とチェルノブイリ原発のあるウクライナに相似の関係があるため、同じ経験をした地域に直接的に支援をしたいという思いがあった。

【将来の夢、目標】
 私の将来の目標は、発展途上国の農業支援を行うことだ。世界人口が増加する中、世界の農地はこれ以上増やすことができないため、限られた農地で最大の生産ができる技術を海外に伝えたい。特に、アフリカ諸国では人口増加率が高く、それに伴うコメの消費量も増加傾向にある。日本はコメの自給率がほぼ100%であり、アフリカ各国のコメの自給率をあげるために栽培方法の伝授、スマート農業の導入などの支援を行っていきたい。また、現在、戦渦にあるウクライナは「ヨーロッパのパンかご」と、呼ばれるほど、肥沃な土壌があり、小麦やトウモロコシなどの穀物輸出がロシアによる侵攻までは盛んに行われていた。ウクライナとロシアの戦争が終結後には農業の再発展が必要なため、農業の観点でもウクライナへの支援も継続的に行っていきたい。

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